Feb 24, 2015

Print

 















匂いがツンと鼻につく、相変わらずの光景。

室内に常に充満する“ヤクヒン”の匂いに反応してしまうと、
何となく特別なものをまとった気分になります。
無臭状態の仕事場では味気なく、早くカメラ歩行に繰り出さなくては、
と掻き立てられます。

現像液と印画紙を大量に購め、フィルムを現像してプリントを焼く。
室中にフィルムをぶら下げては、焼いたプリントを何度も眺め、じっくり選ぶ。
冷静に見てもなおかつ面白いかどうか? 時間がかかっても、時代遅れでも、
何やかんやいっても、やっぱりこんなやり方が「性に合っている」に行き着きます。

暗室をしていて一番の面白さは、普段言葉や思いでは埋まらない、
自分の感覚の断片みたいなのが、ふいにプリント上に定着してみえた瞬間です。
それは充実感や快感にも近い、そんな光景なのかもしれません。

いつの間にか大分経ってしまったけど、美學校時分から始まった
「撮影+暗室=写真」は今も相変わらずです。